なぜ人は本屋に行くとうんこがしたくなるのか

元号が発表され、平成の終わりの足音も一気に速度を上げて聞こえるようになってきた。

私たちの日常に特に大きな変化はないけど、時代的に大きな節目であることには違いない。

そこで、新しい気持ちで令和に向かうためにも平成のうちにハッキリとさせておかないといけない問題がある。

それは「なぜ人は本屋に行くとうんこがしたくなるのか」ということだ。

これは日本人なら全員が経験しているであろう現象でありながら未だ解明されずにいる人体の不思議のうちのひとつだ。

 

「なぜ空は青いのか」と言うと理系男子がドヤ顔で 光の反射が〜 云々どうでもいいことをベラベラ話しだすが、私がしたいのはそんな話ではない。

私が本当にしたいのは「なぜ空は青い(こんなにも美しい)のか」ということであり、別に便意を催すメカニズムが知りたいわけではないので本屋での便意事情に詳しい専門家の方は今回お呼びでないことをあらかじめご了承いただきたい。

 

さて、先日いつものように本屋へ行きまんまとうんこがしたくなってトイレに駆け込んだわけだが、トイレの個室でひとつ気付いたことがあった。

それは「便意は決まって本を選んでいるときに訪れる」ということだ。

欲しい本があってそれ目当てに本屋へ行き、そのままスムーズに会計を済ませたときには便意は発生しない。

つまり、店内に人にうんこをさせたくなる特殊な超音波が発生しているのではなく「本を選ぶ」という行為が「便意」のトリガーとなっているのだ。

ふらっと本屋に立ち寄ったときはもちろん、欲しい本があってその本を手に取ったあとでも、他の本を物色しながら本屋をうろついているといつのまにか便意に背後を取られ、我々は力なくトイレに駆け込むしかなくなるのである。

 

ではなぜ「本を選ぶ」という行為が人に便意を呼び起こすのか。

それを知るにはまず本を選ぶことがどういうことか知る必要がある。

こんな経験をしたことはないだろうか。

家族や友人との外出中に食事を取ることになり、最初はそんなに食欲がなかったのにメニューを見ているうちにだんだんお腹が空いてくるといったことを。

最初からハンバーガーを食べようと思ってハンバーガー屋さんに行っても店内に入る前と空腹感はさほど変わらないだろう。

人間の体は当初の予定になかったことが行われようとしているときに、それに順応すべく体が反応するのかもしれない。

この場合、脳がこれから食事を取ると判断して、それに向けて身体が準備を整え始めているのだろう。

これは本を選ぶときにも同じことが言えるのではないだろうか。

「本を選ぶ」という行為が引き金となり、体が本を読む体勢に準備を始める。

それが「便意」というかたちとして現れるのだ。

とんでもない超人でもない限り、今まで自分の身に起こった出来事をすべて記憶している人間なんていないだろう。

個人差はあれど、それぞれ限られた容量の中で日々必要な情報を取捨選択しているはずだ。

そんな状況の中、体が本を読む準備を始めるとどうなるか。

本は度々「知の象徴」として用いられることがあるが、本を読むということを他の言葉で表すならば「知識(情報)の摂取」と言えるだろう。

ならば体が今ある余計な情報を消去して容量に空きを生もうとするのは想像に容易い。

では、いらなくなった情報はどうなるのか。

 

そう、それこそがうんこの正体なのだ。

 

私たちが日々惜しげもなく垂れ流しているうんこたちは実は我々が不要と判断した情報の塊なのである。

あなたは自分が最初に見た景色を覚えているだろうか。

初めて食べたカレーの味、初めて見た映画の内容、初めてあの子と話した日のことを。

あなたがこれまでに過ごしてきたすべてをあなたは覚えているだろうか。

否、そんなことないはずだ。

それもそのはず、今あなたの中に残っていない記憶たちはとうの昔にうんことなって川は流れ、大地へ帰り、地球の一部となっている。

そう、我々は文字通り先人たちの歴史の上に立っているのだ。

「過去のことは水に流そうよ」という表現を一度は耳にしたことがあるだろう。

比喩表現だと勘違いしている人がいるかもしれないが、あれはうんこのことを指している。

J-POPの歌詞で運命(さだめ)という表記を目にしたことがあるかと思うが、その原型とも言えよう。

野田洋次郎が君と書いて「恋」と呼んで僕と書いて「愛」と呼ぶずっと前から人々はうんこと書いて「過去」と呼んできたのである。

たぶんそのうち野田洋次郎が歌にしてくれるだろう。

「便便便意」みたいなやつ。

いやないか。

 

おしまい

そこに愛はあるのか

 

休日に久しぶりに本屋に行った。

急に活字が読みたくなったからである。

昔からたまにそういうときがある。

そこで抑えきれないこの欲望を満たしてくれる相手を探しに行ったわけだが、この行為のなんと浅ましいことか。

 

これは突然ムラムラしてきたのでサクッと風俗で欲を満たそうとする若者と何ら変わらない。

言わば俺は活字界のとんだ風俗野郎なのである。

適当によさげな相手を見繕い、自分が気持ちよくなることだけを考え、相手のことを理解しようとせず、満足すればあとはポイするだけのその場限りの関係。

ピロートーク(あとがきまで読むこと)など決して行われることのない、すべて自分本位の非生産的な営み。

 

果たしてそこに愛はあるのだろうか。

 

否、俺は本と愛のないSEXをしている。

 

そうして志半ばに役目を終えた本たちの亡骸が暮石のように自宅の本棚にいくつも鎮座している。

その墓石に刻まれた本の名前を目にするたびに激しい自己嫌悪に陥るのだが、どういうわけか毎回同じことを繰り返してしまう。

 

あんなに活字を読みたいという欲望に駆られておきながら、なぜそんなことが起きるのか。

 

答えはいたって単純で、活字を読みたい欲は本を選んでレジに持っていった段階で8割方満たされてしまうからである。

 

これがなかなか難儀で、本を選ぶ際にも始めの数ページほどには目を通すのだが、これだけでは全く満たされない。

ところが、これだと決めてレジへ運んで会計を済ませた瞬間、謎の満足感に包まれるのだ。

もちろん本を読みたい気持ちもあるので家に帰るとすぐに本を広げるのだが、数ページ読み進めるとたいていどうでもよくなっている。

もう興味は他のことに移っていて、ただ字面を追うだけの時間が過ぎ、気付けば本を閉じている。

こうやって我が家に次々と墓石が建てられていくのだ。

 

もしかすると、俺は別に本を読みたいわけではないのかもしれない。

思えば本を買ったときのあの満足感は、下手すると本を読破したときのそれに勝る可能性すらある。

だんだん言い逃れができなくなったきた。

ということは俺は「新しい本を買う」という行為をかっこいいことだと思っていて、でもその目的をカモフラージュするためにわざわざ「活字が読みたい」という自分への建前を用意して、さも読書好きかのような顔で本屋に行っていたということか。

 

 

 

ダサい。

 

ダサすぎる。

 

ダサかわいい。

 

いやかわいくはない。

 

 

 

そういえば、大学生の頃に似たような経験をしたことがある。

友人と東京に遊びに行ったとき、とくにやることも思いつかなくて秋葉原をウロウロしてたら巨大なメイドカフェの看板が目に入った。

 

「あー、メイドカフェ行く?」

 

誰が言ったのかは覚えていない。

気がつくとスマホ片手に秋葉原メイドカフェを血眼になってリサーチしていた。

リサーチの結果、目の前の巨大な看板のメイドカフェがなかなかのメジャーどころで、評判も高めだったのでそこに入ることにした。

俺たちのボルテージは最高潮に達していた。

一歩踏み出せばそこにはメイドたちが俺たちの帰りを待っている。

そうだ、俺たちはこのためにはるばる東京まで来たんだ。

行くぜお前ら、準備はいいか?

最高の萌え萌えキュンを始めようぜ!!!!!

 

『『『おかえりない、ご主人様ー!』』』

 

「ただいま〜!」「あ…うぃっす。」

 

??!!!!

一瞬何が起こったのかわからなかった。

おい兄弟、一体どうしちまったんだ?

さっきまであんなに盛り上がってたじゃねーか。

なのになんでもうすでに一仕事終えたみたいな顔してんだよ。

一緒に美味しくなる魔法かけようなって約束したじゃねーか。

なあ、おい!!!!!

 

「えーと、あいちゅコーヒーください」

「じゃあ俺コーラで」

 

待てよ、ちゃんと「まっくろしゅわしゅわ」って言えよ!!!

この店にそんなもんねえんだよ!!!

なんだお前、モテようとしてんのか?あ?

 

『一緒に美味しくなる魔法かけましょ〜!せーのっ』

 

『萌え萌えキュン!』

「萌え萌えキュン!」「ははっ」

 

てめえ何笑ってんだよやる気ないなら帰っちまえ!!!

遊びでやってんじゃねえよ!!!

 

「いやーなんかさ、こういうのってお店入るまでがピークだよね」

 

まじでふざけんなと思った。

なんなのもう。

でもそっか、お前の場合「メイドカフェに行くこと」が目的になってて、入った時点でお腹いっぱいだったんだね。

今ならその気持ちわかるよ。

あのときはふつうにキレちゃってごめんね。

 

それから1年くらい経ったある日、そいつの財布を漁ってたら中からメイドさんと撮ったチェキが出てきた。

なんだよ、やっぱ楽しかったのかよ!!!

 

目に見えてるものがすべてじゃない。

そういう愛もあるのです。

 

おしまい

 

LDK48

アイドルグループと思いきや、驚異の間取り。

48ヶ所のキッチン。

使いこなせる自信ないな〜。

 

そんなわけで、行ってきましたよ。

いや、新しいマンションの内見ではなくて!

アイドルグループの方ね。

 

縁あって、今をときめくスーパーアイドル乃木坂46の握手会に参加してきました。

何を隠そう実は大の乃木坂ファンなので、これにはまじであげぽよもみじ饅頭!ってかんじでした!

ちなみに俺の知ってる乃木坂の知識をひけらかすと、「かわいい」「団体行動が上手」「たまに歌う」「かわいい」「平成生まれ」「俺よりも背が低い」「お腹が空くと食事をとる」「絶対にあげぽよもみじ饅頭とか言わない」とまあこんなかんじです。

 

ちなみに俺の推しメンは与田ちゃん。

みんな与田ちゃん知ってる?

与田ちゃん超かわいいからみんな見て。

俺とかまじで与田ちゃんにゾッコンラヴだから。

ラブじゃなくてラヴね。

ピザじゃなくてピッツァ、ヨダじゃなくてヨドァだから。

いや、与田は与田か。

でもさ、握手会って数秒とはいえ無言ではないじゃん。

ああいうときってみんな何話してんだろうね。

 

「いつも見てます!」

違うな、いつもは見てない。

 

「応援してます!」

うーん、これだけ彼女のことを知らない中で、果たして俺は彼女を応援してると周りのオタクに胸を張って言えるだろうか…

 

「頑張ってください!」

そんなこと言われなくても彼女は頑張ってるし、俺は別に彼女に頑張ってほしいわけじゃないしな…

 

「お勤めご苦労様です!」

いやこれは絶対に違う、なんかもうすべてが寒い…

 

え、待って言うことないじゃん!

しかも人の数がえぐいから油断してたけど、思いのほか列の流れるスピードが速い。

このままやとすぐに順番が回ってまう。

 

焦れば焦るほど考えはまとまらないし、列はどんどん進んでいく。

ブースの中から握手を終えた人たちがどんどん出てくる。

それにしてもみんなみっともない顔してんなあ。

ほとんどの人の口元が緩んじゃってて(でもたまに悲壮感に満ち溢れた人もいる)、会う前から与田ちゃんの破壊力のすごさを体感することとなってしまった。

 

でもこれだけ多くの人を笑顔(たまに悲壮感)にできるなんてやっぱアイドルはすごいなあ。

きっと日々いろんな媒体を通していろんな人を笑顔にしてんだろうなあ。

俺なんてせいぜい自分の目の前の人を笑顔にすることくらいしかできねえもんなあ。

ちょっと待ってなにそれ素敵。

今のすごくよくなかった?

俺ってばアイドルの素質あるんじゃないかしら。

なんかテンション上がってきたぞ。

おら、アイドルになりてえ。

でも改めてアイドル目線に立って考えると、与田ちゃんをはじめとした乃木坂46のメンバーの皆さんのすごさがよくわかるな…

じゃあアイドルになる前に、まずはひとりのファンとしてアイドルの与田ちゃんにお礼を言おう。

 

「いつもみんなを笑顔にしてくれて、僕たちに日々の活力を与えてくれてありがとう。」

 

いや〜、逆にこれしかないな。

ここで与田ちゃんに直接お礼を言うことで、ファンとしての活動をすべて清算しようと思う。

言わばこれは俺のファンとして乃木坂46との決別、そして必ずアイドルになるという俺なりの決意表明でもあるのだ。

なんとか自分の番が来る前に言うことが決まって本当によかった。

なんだ、俺にもちゃんと伝えたいことあるじゃん!

しかも、こんな熱い想いがあるなんて自分でも驚きだ。

そうこうしてるあいだに一緒に行ってた友達がブースの中に消えていった。

いよいよ俺の番。

次この会場に来るときはアイドル側の人間としてになるだろう。

それではお手並み拝見の意味も込めて、いざ行かん…!!!

 

 

 

 

与田ちゃん(にこにこ)

 

俺(うわ、かっっっわ…!!!)

 

与田ちゃん(…?)

 

俺「ひひ、あ、ありがとう、ございましぇす」

 

与田ちゃん「あ、うん、ありがとー!」

 

 

 

 

ブースから出てきた俺はどんな顔をしてただろうか。

そうか、たまにブースから出てきた悲壮感に満ち溢れた顔の男たちの正体はこれか。

彼らもまた、かつてアイドルを夢見ていたアイドルの亡霊なのだろう。

 

圧倒的完敗だった。

でもなぜか悔しさはない。

そうか、あれが本物のアイドルか。

 

彼女たちを前にして「おら、アイドルになりてえー!」なんて、考えがあまちゃんだった。

きっと能年玲奈に「俺アイドルになれると思う?」って聞いたら「のん」って言われるだろうな。

 

おしまい

スシ食えねェ!

好きな食べ物なに?って聞かれても候補にはあがらないくせに、突然俺たちの脳内に現れてそのことしか考えられなくする魔性の食べ物茶碗蒸し。

日本ならではの繊細さとスプーンで食べるおしゃれさを兼ね備えている超パーフェクトフード茶碗蒸し。(スプーンで食べるやつは全部おしゃれだと思ってます。)

 

いつものように(あー、茶碗蒸し食いてえなあー)と思いながら歩いていると寿司と書いてある看板を目にした。

俺の中のリトルサンドウィッチマンが「おいおいこんなところに寿司屋があるじゃねえか、興奮してきたな。」と言うので店に入ることにした。

なんてったって茶碗蒸し食べれるし。

そうだ、茶碗蒸しだけ100杯食べちゃおうかな。

いやでも最近太り気味だしあんまり茶碗蒸しばっか食べるのもよくないかなあ?

俺の中のリトル伊達ちゃんに聞くと「カロリーは蒸したときの熱に耐えられないから茶碗蒸しは0カロリー。」と教えてくれたのでホッと胸をなでおろす。

なんや、0カロリーなら何杯でもイケちゃうじゃん。

するとそのやりとりを見てた俺の中のギャルが「つーかうめえから食うでよくね?」と声を漏らした。

間違いない。

俺は0カロリーだから茶碗蒸しを食べるんじゃない、うめえから食うんだ…!!!

大事なことはいつもギャルが教えてくれる。

「迷ったら心の中のギャルに聞け」

これは俺の座右の銘です。

 

その回転寿司屋はチェーン店とかではなく、店内をカウンター席が一周しているという構成だった。

レーンのコーナー付近の席に通され、座ったときにあることに気付く。

あれ、どこにも値段が書いてねえ。

まさかここ高いお店とかじゃないよね?

茶碗蒸しに気を取られて半ば思考停止で店に入ったけど、よく考えたらそもそも回転寿司ですらなかった可能性もある。

恋(茶碗蒸し)は盲目とはこのことか。

とりあえず値段が書いてないのなら他の情報からお店のランクを判断するしかない。

そう思って前を向くと、若い店員のお兄さんが一心不乱にイカを握ってレーンに流しまくってた。

レーンがイカで大渋滞を起こしてる。

(え、なんで追加するの?)ってくらいレーンがお寿司でパンパンなのにお兄さんは無理やりイカを滑り込ませている。

よかった、こんなイカれた店員がいるところが高い店なわけがない。

安心して俺は茶碗蒸しを注文した。

 

ほとんどイカしか流れていないレーンを眺めながら茶碗蒸しを待っていると、隣の席に少し見た目がいかついお姉さんが座った。

お姉さんの席は完全なコーナー部分で、お姉さんの目の前ではお寿司が直角に曲がるんだけど、お皿がギチギチなせいでたまに寿司が止まってる。

改めて見るとまじであの店員さん頭おかしいな。

予定帳ぎっしり埋めてないと落ち着かないタイプの女子かよ。

ふとお姉さんの方を見ると思いっきりイカにガンを飛ばしてた。

レーンのイカがガタガタ震えている。

お姉さんに恐れをなしているのか?

違う、ただレーンがギチギチなだけだった。

主犯格の店員の方に目をやると、今度はサーモンを握りまくってた。

もうそれ置くとこないよ、どうすんのそれ。

そうこうしているうちに茶碗蒸しがやってきた。

 

茶碗蒸しサイコー!

茶碗蒸しに舌鼓をうっていると、隣から「イカとエビ!」というぶっきらぼうな声が聞こえてきた。

いやイカめちゃくちゃ目の前にあるやん。

またあいつにイカを握らせるつもり?!

思わずお姉さんの方に顔を向けると、お姉さんもちょうどこっちを見ていた。

やばい、見てたのがバレてしまった。

するとお姉さんの右手がこっちに向かって伸びてくる。

突然のことに思わず身構えると、お姉さんは俺の目の前の醤油のびんを取って自分の手元に置いた。

なんや醤油が欲しかっただけか、びっくりした。

 

茶碗蒸しをペロリと平らげて、あることに気付く。

茶碗蒸しって1個でいいな。

あと、ふつうに寿司食いてえ。

なぜなら俺は茶碗蒸しも好きだし、寿司も好きだから。

俺、寿司も食っていいかなあ?

俺の中のリトル伊達ちゃんに様子を伺うと「寿司は握られたときの衝撃でシャリとネタのカロリーがぶつかりあって空中に分散するからカロリー0。」と教えてくれた。

これで心置きなく寿司が食える。

とりあえずイカ食べなきゃ。

半ば使命感にも似た気持ちでイカをお皿を取ってさっそく食べようとするも、あるものが足りない。

 

あれ、醤油どこいった?

 

あるはずものがそこにない。

いやさすがに醤油なしはきついぞ。

なんせ白い。

白い皿の上に白いお米と白いイカが乗ってる。

白・白・白

三目並べならすでに負けてる。

でもこのまま白旗あげて逃げ出すわけにはいかない。

そう、まだ醤油チャンスが残ってる。

醤油でイカを黒く染めあげてやればまだ勝機はある…!!!

あ、違う、醤油がなくて困っとるんやった。

勝機も醤油もない。

しょうがないからポン酢で食うか。

いやしょうが(ガリ)はあるのか。

ええい、ややこしい。

あれ、ていうかさっきお姉さん醤油持って行ってたよな?

見ると、お姉さんの右肘のあたりに醤油がスタンバってた。

お姉さんは俺の右側に座ってるから、あの醤油を手に入れるためには彼女に声をかけて醤油を譲ってもらうほかない。

お姉さんはというと、相変わらずぶっきらぼうな声で「タイ!」と言って店員さんを威嚇している。

正直俺はかなりブルっていた。

白状すると、一度諦めて目の前のイカをポン酢で食べた。

最初からわかってたことだけど、やっぱりポン酢じゃだめだ。

どうしても醤油がほしい。

心の中のギャルに相談しようと思ったが、あいにくドンキに行っているようで留守だった。

ここはもう勇気を振り絞るしかない。

俺は意を決して彼女に声をかけた。

 

「すいません。」

 

「………」(お姉さんは顔を動かすことなく視線だけをこちらに向けている。)

 

「あの『なにか?』

 

「いや、すいません!大丈夫です!」

 

びっくりした。

明らかに怒気を孕んだ言い方に思わず謝ってしまった。

「Excuse me」のすいませんと「I'm sorry」のすいませんで会話を挟んだすみませんバーガーを作って、俺はそれを飲み込んだ。

すみませんバーガーは涙の味がした。

完全に戦意喪失。

もう彼女に声をかける気にはなれない。

俺は空虚を見つめるように目の前で流れる寿司をただただ眺めていた。

心なしかさっきよりサーモンの比重がだいぶ多いように感じる。

まあ犯人はわかっているのだけど。

 

翌日、たまたま職場のおじさんに声をかけられて回らないお寿司屋さんに連れて行ってもらった。

人のお金で食べるお寿司はまじで最高だ。

しかも回らない寿司ときたもんだ。

心の中のギャルも「てかまじで神じゃね?」と言っている。

俺も心の中のギャルと全く同意見だ。

きっとお寿司の神様が昨日の俺を不憫に思って与えてくれた贈り物だろう。

ありがとう、寿司神様。

 

なあ、昨日のお姉さん聞いてるか?

俺は今から人の金で回らない寿司を食べるぜ。

ここではレーンに無理矢理寿司を押し込むヤバい店員もいないし、醤油をガッチリキープする気性の荒いお姉さんもいない。

すべてが最高だ。

そして、この最高の環境で俺はあえてすぐに寿司には手を出さない。

そう、俺は迷わず茶碗蒸しを注文する。

俺を連れて来てくれたおじさんも驚くだろう。

でもそんなこと知ったこっちゃねえ。

心の中で伊達ちゃんとギャルがなにやら騒いでいる。

うるせえ、黙ってろ。

誰が何と言おうと俺は茶碗蒸しを食うぜ。

まっすぐ自分の言葉は曲げねえ、それが俺の茶碗蒸し道だ。

茶碗蒸し王に俺はなる!!!

 

 

 

「すいません、茶碗蒸しください」

 

『あ、今の季節やってないんですよー。』

 

「あ!本当だ!書いてありますね、すいません!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え、茶碗蒸し王?

聞いたことないなあ。

僕ですか?

僕はすいませんバーガーキングです。

 

おしまい

 

 

GOLDFINGER'18

 

A CHI CHI A CHI 燃えてるんだろうか

もう A CHI CHI A CHI 感じたんだろうか

OH, UPSIDE INSIDE OUT きみを泣かせても

A CHI CHI A CHI それは太陽がさせたことだよ

夏の太陽が〜〜〜〜〜

 

 

 

 

前から思ってたんだけど、この曲の郷ひろみちょっと呑気すぎじゃなかろうか。

すでに A CHI CHI 状態なら燃えてるかどうかすぐに確認すべきであって、(燃えてるんだろうか…)なんてぼんやり考えてる場合じゃない。

ましてや途中で考えを放棄して夏の太陽のせいにするなんてもってのほかでしょ。

「カモ〜〜〜ン!!!」じゃないよ、お前が行ってこい。

 

どう?ちゃんと確認した?

燃えてなかった?大丈夫そう?

え、なに、やっぱり夏の太陽のせいやったの?

あー、そっか…

なんかごめんね!

まあたしかに今年暑いもんね。

 

いや本当に今年の夏の太陽どうしちゃったの?

ちょっと本気出しすぎじゃない?

平成最後の夏だから張り切っちゃった?

張り切りまくっちゃっちゃっちゃった?

でもそういうのよくないと思うな〜!

そのノリで行くと来年も新年号だからとか言って張り切っちゃうんでしょ?

あーだめだめ、太陽ってばなんにもわかってない。

そういう風に仕事のできを感情左右されちゃうようじゃまだまだプロとは言えないよ。

でもまあ若いうちはやる気が空回りしちゃうこともあるよね。

今年で何年目だっけ?

え、46億年目?

なにそれ若手の空回りと思いきやジジイのお戯れかよ。

ふざけんな。

 

なんなのこのうだるような暑さは。

まじでヤバイよね。

もうヤバイなんてもんじゃない。

ドヤバイ。

ヤバイを超えてドヤバイ、略してドバイじゃん…

 

とか言ってたら多治見(岐阜県)がドバイ(アラブ首長国連邦)の気温超えてたね。

ドバイまで超えちゃってどうすんの。

そんなの石油でも出てくんなきゃ割りに合わないよ。

もう所構わずドバドバいっちゃってほしい。

てかそれならむしろ歓迎だよね。

なんならもう2〜3℃上がってもいい。

だってこれでも日本も大金持ちだよ!

街は連日お祭りムード。

お祝いの花火もバンバン上がってる。

やがて火の粉が石油に降り注ぎ、一瞬で街が火の海に。

だから俺は言うわけ。

 

 

 

「A CHI CHI A CHI 燃えてるんだろうか〜」

 

 

 

 

 

やばいね。

 

なにがやばいって、こんなクソみたいなブログの枕で1000字も書いちゃってんのがやばいよね。

まだ本題入ってなかったのかよっていうね。

残念ながらここからが本題です。

(いやもともとこんなしょうもないブログに本題もクソもないんだけど。)

 

 

まあ散々暑い暑い言ってっけど、外に出なけりゃそこまでたいしたことないよね。

なんつったって俺らにはクーラーがついてるから。

みんなクーラーって知ってる?

あいつ気温を自在に操れるからね。

太陽でさえどんなに頑張っても雲が現れりゃどうしようもないのに、それがクーラーはいつ何時でも自由自在に温度を上げ下げできるの。

なにそれ神様と一緒じゃん…

「憎いね、三菱!」とか、そんな軽々しく扱っていい代物じゃないよ本当に。

 

今でこそエアコンの恩恵にあずかって快適に過ごしてるけど、もしこれがなかったらどうなるかわかる?

 

なんと、すげー暑い。

 

俺高校卒業してから1年間名古屋で寮生活してたんだけど、この年の夏が間違いなく人生でいちばんキツかった。

 

みんな知らないかもしれないけど、名古屋の夏はまじでバチボコ暑いから。

フェーン現象(山から暖かくて乾いた空気が下りてきて、人がやがて死ぬ)とヒートアイランド現象(都市部の気温が周囲と比べて高くなり、人がやがて死ぬ)とロナウジーニョ現象(三日三晩飲まず食わずで真夏にサンバを踊り続けると、やがて人は死ぬ)のトリプルパンチで名古屋の夏えらいことになってるから。

 

そんで当時俺が住んでた寮の部屋にはエアコンがついてなかったのね。

窓を開けても風が全く吹かなくて、むしろ熱気が入ってくるから部屋は基本的に閉めきり状態。

もう完全に地獄よ。

まず暑すぎて夜が全く寝れない。

そんで暑すぎて日の出とともに目が覚める。

そんな生活がずっと続いてた。

 

まじで他の寮生の人たちどうしてんだろ、ってのがめっちゃ疑問やった。

夜暑くて寝れんなんか聞いたことなかったし。

ていうかそんな話できる友達がおらんかった。

だってみんな飯食いながら相対性理論の話とかするんだよ?

まじで話に入れなさすぎて1年間ずっとボッチ生活。

当然寮にはテレビもネット環境もなかったし、まじで深夜ラジオだけが友達な状態。

しかもうちの寮はなかなか厳しくて、

門限(18:30)に間に合わなかったら反省文。

部屋で大きな声を出したら反省文。

部屋で口笛を吹いたら反省文。

とかいういくつかの禁止事項があって、反省文が3枚たまると強制退寮というなかなかシビアなルールだった。

だからラジオがおもしろくても絶対爆笑とかできなくて、すごくつらかった。

なかでも門限が18:30ってのがめっちゃきつくて、休みの日とかに名古屋を探検しようと思ってちょっと自転車で遠出すると18:30なんてあっという間よ。

方向音痴のくせにガンガン遠くまで行くもんだから、帰りはいっつも時間ギリギリ。

当時は今みたいにGoogleマップなんていう魔法のアプリなんかなかったから勘で帰るしかないわけ。

(名古屋って意外と都市部しか栄えてないから、光が多いところに向かえばきっと戻れるはず…)と思って光が多い方多い方に半泣きで自転車を鬼漕ぎしてた記憶がある。

んで案外それで帰れたりするのよね。

その話を「ああいうときって第6感が働いてたりすんのかねえ〜」なんて友達に話したら「光に向かってひたすら進むって、なんか虫みたいだね。」って言われた。

ひどい。

 

そんなわけで他の寮生との関わりがなさすぎて、みんな沖縄出身なのかなあ〜とか思いながら俺も必死に耐えてた。

ひどいときは無意識のうちにひんやりとしたところを求めてか、朝起きたら廊下で寝てたり共用の洗濯機が置いてあるランドリールーム?で寝てたりしてたことがある。

早朝だったし、毎回自分で起きてたからたぶん誰の目にも触れてなかったんだと思うけど、もし見られてたらなかなかショッキングな光景やったやろうな。

 

そんなこんなで根性だけで名古屋の夏を乗り越えて、いよいよ退寮の日。

荷造りもあらかた終わり、最後に窓際の室外機?みたいな機械の上に置いてた唯一の友達だったラジオを持ち上げると、ラジオの下から送風口がひょっこり顔を出した。

もしや…と思い周囲を探すと近くになにやら開けそうなフタがある。

嫌な予感しかしない。

開くとそこには「冷房」と「暖房」の2文字が。

 

「えーーーーーーーーーー!!!!!」

 

寮中に響き渡る悲痛な叫びにすぐに寮母さんが駆けつけた。

 

「どうしたの?!!」

 

「ここのエアコンの存在に今まで気付きませんでした。」

 

「え?!夏はどうやって過ごしたの?」

 

「根性です…」

 

「………(絶句)」

 

「…濱本くん。」

 

「はい…」

 

「大きい声出したから、反省文ね。」

 

「僕今日で退寮なんですけど。」

 

「うん、だけど決まりだから。」

 

 

 

 

おしまい

新しいネイルで元気1.3倍!!!

 

俺下に3人兄弟がいるから、同世代の友達よりもアンパンマンを見てる期間がけっこう長めなのね。

弟や妹がおる人ならわかってくれると思うけど、ほんとアンパンマン先生には頭が上がらない。

ある程度の年齢までは、とりあえずアンパンマン見せとけばOKみたいなところまじである。

そりゃあもうお世話になりっぱなしよ。

 

で、先生の作品を何百回も見てきた中でひとつ思うことがあるんやけど、今日はそれを発表しようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

元気100倍ってえげつなくね?

 

 

 

 

 

 

これです。

長年アンパンマンを見続けてきて、最終的な感想はこれに尽きます。

 

ふつうに考えてやばすぎでしょ。

だってね、悟空の超サイヤ人でさえ戦闘力50倍だからね?

更に倍。どどん

まじでとんでもないパワーアップやと思うんやけど、みんなそのへんスルーしてない?

今日はそのあたりをみっちり検証していこうと思うわけ。

 

とりあえずアンパンマンの標準的な強さやけど、こいつがまじでめちゃくちゃ強い。

どんな敵もアンパンチで1発KO。

だからそもそもパワーアップなんかする必要ないのよ。

だってパンチ当てりゃ勝てるんだから。

日曜朝のヒーローだってもう少し苦戦してる。

 

なんかワンパンマンっていう先生のリスペクトなのかなんなのかわかんないけど、主人公が敵をワンパンでやっつける漫画あるけど、あれとかもう全然本家と差別化できてないからね。

だってアンパンマンワンパンマンなんやもん。

それじゃあ海賊版ONE PIECEって言ってるようなもんだよね。(うまい)

 

じゃあなんでバタコさんが今日もブルペンで肩を温める必要があるのか。

そう、我らがアンパンマン大先生にもひとつだけ弱点があるのよね。

 

 

顔面が超デリケート。

 

 

あの強さを手に入れるにはやっぱ相当なリスクがあったみたいで、アンパンマン先生顔面への攻撃にすこぶる弱い。

ちょっと濡れただけで完全に戦意喪失。

しおらしく「力が出ない」とか言ってんの。

俺らも雨の日に通学とか通勤してて靴下濡れるとかあるじゃん?

たしかにめっちゃテンション下がるけど、さすがにその場にへたり込んだりはしないじゃん?

それがアンパンマン先生はしちゃうのよ。

バイキンマンからみんなを守るために颯爽と現れたのに、悠長に座りながら「みんな逃げてー」とか言ってんの。

いや言われずともそうしますやん。

なにしに来たんすかまじで。

 

せっかく助けを求めてアンパンマン来てくれたと思ったのに、今度はアンパンマンがやばいからパン工場に助けを求めなきゃいけない。

とんでもない2度手間。

なんなら自ら危険を冒して先生をお守りする必要すらある。

ちょっと先生なにやってんすかー。

そんなデリケートなら自分で予備の顔持っとけばよくないですか。

でもそこは先生も言うわけ。

「焼きたてのやつじゃなきゃやだ。」

なにそのこだわり。

うるさいっすわまじで。

「靴下濡れたまじもう無理」ってうるさい友達に「予備のやつ持って来とけよ」って言ったら「洗いたての柔軟剤が香るやつじゃなきゃやだ!」って言われたら絶対アンパンチするよね。

 

もうね、こうなったらテコでも動かない。

体操座りしながら地面に指で絵描いたりしてる。

旅行先ではしゃいでたら怪我したやつと同じテンションになっちゃってる。

そのテンションの下がりようと言ったら、普段の10分の1、いや100分の1くらい。

だってさっきまでご機嫌で空飛んでたんだから。

 

見かねたバタコさんに新しい顔持ってきてもらってようやく機嫌治すんやけど、バタコさんも本当に偉いよねえ。

なんか学校から「息子さんが靴下濡れたからもうここから動かないつって、次の授業移動教室なのにひとり座り込んじゃってるんですよ」っていう連絡を受けて、わざわざ学校まで靴下届けに行ってるわけだからね。

そりゃ息子見たら俺でも顔面めがけて靴下投げつけるわ。

なんか調子乗って「元気100倍!」とか言ってっけど、その前の状態があれだからね。

元気100倍になってようやくフラットに戻ったかんじ。

てことはあれやな、元気100倍が超すごいっていうよりかは、先生の顔が汚れたときのテンションの下がりようが超すごいってかんじやな。

なにそれ。

 

これはみんな知らんやろうけど、バイキンマンもバカじゃないから、1回「あれ、これジャムおじさん捕まえればアンパンマン復活できんのじゃね?」つって、ジャムおじファミリーを捕まえたことがあるの。

なんかジャムおじファミリーがホワイトクリーム姫に招待されて、空飛ぶパイの国で甘いおかしをご馳走になろうとしとるところを目撃して、空飛ぶパイの国の占拠を試みたわけ。

ジャムおじファミリー自体の戦闘力は皆無だからいとも簡単に縄でぐるぐる巻きにされちゃって、不意をつかれたアンパンマンも顔を濡らされて「もう無理ー」つってへたり込んでるし。

これはもうかつてないほどの絶対絶命なわけ。

アンパンマンは戦意喪失、ジャムおじファミリーは拘束状態。

どうなっちまうんだよ!!おい!!!

そしたらジャムおじさん、すっごい落ち着いた口調で言ったよね。

 

「チーズや、この縄を噛み切っておくれ」

 

チーズ「アンアン」言って速攻で噛みちぎってた。

てことはあれじゃん、いつでも縄から抜け出せることわかっててしばらくぐるぐる巻きのまま座ってたのかよ。

もうジャムおじさんも本当は新しい顔作りたくないんじゃないの?

作っては汚され、作っては汚され。

ぐるぐる巻きにされたままのあの時間は彼なりの抵抗の姿勢やったのかもしれん。

 

でも何はともあれこれで解決じゃんと思って安心して見てたら、もうひとつどでかい問題が残ってた。

空飛ぶパイの国ってのがその名の通り空に浮かんでる国なんやけど、そんなところを襲われちゃったもんだから新しい顔を作る材料がない!

戻ろうにも空高く浮いてて戻れない!

こいつばっかりはどうしようもない。

バイキンマンもしたり顔よ。

ああ、もう本当におしまいだ!

来週から新番組の「ドキンちゃんもいまーす」が始まるに違いない。

 

そしたらホワイトクリーム姫が「お菓子作る材料ならあるけど」って。

いやいや、アンパンマンなめんじゃないよ。

アンパンマン」って銘打ってるわけだから、中身はつぶあん以外考えられないでしょ!

そしたらジャムおじさん「それだ!!」つってた。

なんかもうそのへんのこだわりはないっぽい。

先生も「まだー?」って言ってるし、背に腹はかえられないからしょうがないのか。

そして完全した真っ白な顔。

本当にそれで大丈夫なのか?って思ってたけど、やっぱり先生も言ってたよね。

 

 

 「元気70倍!ホワイトクリームパンマン!」

 

 

元気70倍やった。

やっぱ何か違うなーって思ったんやろうね。

いつもよりちょっと元気なかった。

わかるけどさ、それホワイトクリーム姫の前で高らかに宣言しなくてもよくない?

なんなら材料使わせてもらった手前、元気120倍くらい言ってあげてもバチは当たらんと思うよ。

まあそのあとはホワイトクリームパンチでバイバイキンさせたんやけど、パン工場に戻ったあと速攻で新しい顔に変えてもらってた。

「これでやっと元気100倍だよー」って言ってた。

先生正直すぎるよ。

もう絶対空飛ぶパイの国に招待されることはないやろうな。

 

今まで先生のことリスペクトしかなかったけど、よくよくみたらなかなかの大暴れやった。

これ教育上大丈夫なのかしら。

あんなわがままな大人にならんように、弟たちのためにもちゃんとしよ。

そんなことを思いながらエンディング見てたら先生踊りながら俺にこう言ってきた。

 

 

アンパンマンは君さー」

 

 

うるせえ!!!!!

 

おしまい

 

レオナルド・ダ・ピンチ

なんか今年の梅雨わかりにくかったよね。

朝降ってたのに帰る頃には晴れてたり、朝は晴れてたのに急に土砂降ったり。

1日のうちにコロコロ変わりすぎ。

乙女心かよ。

おかげさまでありとあらゆる場所にビニール傘を寄付してる。

 

でも勘違いしてほしくないのは、俺だってただやみくもに傘を置いていってるわけじゃないってこと。

俺が神戸市内の各所に散りばめたビニール傘たちを上空から見て、それぞれの点を線で結ぶと巨大な絵ができあがっから。

ダヴィンチコード的な展開始まっから。

なのによー、お前ら俺の傘勝手に持っていくもんだからよー、いつまで経ってもダヴィンチコード的な展開始まんねえじゃん。

迷宮入りどころか、このままじゃお蔵入りとかつらすぎる。

頼むからダヴィンチらせてくれよ。

 

ちなみに会社の置き傘も全パクリ。

何本か置いてたやつがまるっとなくなってる。

同期はビニール傘使わないから、もう犯人は上司の中の誰かなのは確定なわけ。

だから全員が揃ってるときそれとなく探りを入れてみることにした。

もう構図は完全に最後の晩餐状態。

これはビッグ・ダヴィンチ・チャンス!!!

この中にユダがいる。

 

ダヴィンチ「なんかビニール傘使ってると、たまに自分のかどうか不安になることありません?」

 

所長「俺ビニール傘使わん」

室長「俺も」

同期「わたしも」

 

主任「気にしたことない」

 

 

 

 

 

 

 

ノー・ダヴィンチでフィニッシュです。

 

主任の顔面にユダって書いてあった。

謎がひとつもない。

ライアーゲームやったら戸田恵梨香だけで事足りるレベル。

松田翔太の出番なし。

暇を持て余して部屋でギャツビーで遊んでる。

 

そんなこんなですべての傘とダヴィンチ・チャンスを失い、会社でひとり、なんとも言えない表情で窓の外を眺めてた。

その佇まいはモナリザそのもの。

モナリザの表情についていろんな議論がされてるけど、俺正解知ってるよ。

あれはビニール傘を盗まれたときの顔です。

しばらく外を眺めてたけど一向に雨が止む気配がないので、しかたなく濡れて帰りました。

途中で傘は買わなかった。

買ってもどうせすぐになくなるし。

 

家に着く頃には当然全身びしょ濡れで、でも何故か不思議な満足感があった。

着ていた服を全部放り投げて床に寝転ぶ。

(別に傘なんてなくてもどうってことないな。)

大きく手足を広げて、薄暗い部屋で無表情な天井をしばらく眺めていた。

外から聞こえていた雨音もいつしか消えていて、静寂の中に包まれる。

世界に自分だけが存在してるかのような不思議な感覚。

俺は誰もいない世界で、「ノー・ダヴィンチでフィニッシュです…」と呟いた。

梅雨明けは近い。

 

 

 

そのときの俺の様子を書いたのが、かの有名なウィトルウィウス的人体図です。(大嘘)

 

おしまい