3000年の歴史と25年の絆

 

花粉が猛威をふるっていますね。

職場の人たちが無限鼻水地獄に苦しんでいます。

まあ花粉症なんて僕には無縁の話なんですけど。

だいたい僕に鼻水なんて似合わないでしょ。

たまにお尻からマシュマロが出てくるくらいです。

 

 

 

この前仕事から帰ると親から「週末そっち行くから泊めてね」という連絡があった。

なにやら弟のオープンキャンパス巡り、関西編が開催されるらしく…

まじかよせっかくの優雅な休日に勘弁してくれ。

週末に来るのはダーウィンだけでいいよ。

そんなことを思いながら気休め程度に掃除機をかけていると、貧乏そうな家族が訪ねてきた。

よく見たらうちの家族だったので中に招き入れる。

すると部屋に入って早々、3ヶ月ぶりに会った息子に対して母親の第一声が

 

「あんたってそんなに中国人フェイスやったっけ?」

 

いやもうクセじゃ!

開口一番クセがすごい!

いきなりそんなクセの塊ぶつけられても上手く返せんわ!

と心の中のノブが困惑していると

 

「髪型が変わったでかな?」

 

いやちょっと髪型が変わっただけで中国人フェイスに見えるなら、そいつもともと中国人フェイスだから!!

それか今の俺が中国人ヘアーってことかよ!!

中国人ヘアーってなんだよ!!

つーか正月に会ったときから髪型は変わってねーよ!!

心の中の三村が大声をあげている。

 

「でもやっぱり今はもうあんたら似とらんね」

 

母親が俺と弟の顔を見比べている。

なにやら最近家で昔の写真が出てきたらしく、小学生までの俺と弟の顔が完全に一致しとったらしい。

まあ言われてみれば昔は似とったのかもしれない。

 

「あんたにも見せてあげたいわ、パッと見じゃ全然どっちかわからんよ」

 

「えっ、そんなに?じゃあどうやって見分けるの」

 

「最初はわからんかったけど途中からある法則を見つけたで見分けるのは簡単」

 

「なにそれどういうこと」

 

「(弟)の写真が、全部無表情なの」

 

「えっ、なにそれこわすぎ」

 

「遊園地での写真も、動物園での写真も、全部無表情」

 

「こわいこわいこわいこわい」

 

「ほらうちの子クールガイやでさ」

 

「いやもう心配になるわ」

 

「わたしはあんたの写真見たときも心配になったよ」

 

「えっ」

 

「あんたは笑っとる写真とかもちゃんとあるんやけどね、ほとんどの写真で…」

 

「うん、なに」

 

 

 

「めっちゃ鼻水垂らしとるの!!!」

 

 

 

すいません、めっちゃ鼻水垂らしてました。

 

 

おしまい

 

25歳、愛を語る。

 

平成28年から平成29年に移るのは慣れるまで時間がかかったけど、平成30年にはすぐ慣れたな。

いきなり「いま平成何年やっけ?」って聞かれてもすぐに「平成30年!」って答えれる自信あるもん。

てゆーかもう平成30年なのが驚きやけど。

 

SMAPも解散したし、安室ちゃんや小室ちゃんも引退するし、平成が終わりを迎えようとしてる。

でもこれで全てが終わるわけじゃなくて、「平成」が終われば「平成♯」が始まるし、そこから「も〜っと!平成」「平成ドッカ〜ン!」と続いていくんだけどね。

 

平成ドッカ〜ン!元年なんてかなり未来の話やし、何があってもおかしくないよな。

人間ももっと進化しとるかも。

不思議なチカラがわいたらどーしよ?(どーする?)

何だかとってもすてきねいーでしょ!(いーよね!)

AIの普及で仕事っていう概念がなくなっとるかもしれんな。

きっと毎日が日曜日。学校の中に遊園地。

やな宿題はぜーんぶごみ箱にすてちゃえ!

おい!誰がおジャ魔ウンテンゴリラじゃ!

 

そんなことより孤独。

未来の話なんかより今の孤独。

平成30年になってもなお孤独。

愛に飢えたゴリラ。

愛が欲しい。無理なら3億円でもいい。

 

斉藤和義が「愛なき時代に生まれたわけじゃない」って歌っとったけど、斉藤和義が生まれた1966年にはまだ愛があったみたいやね。

それがどういうわけか俺が生まれる1993年までの27年の間に愛はすっかりこの世から姿を消してまったみたいで、おかげで愛の難民ゴリラです。

 

生まれてこのかた一回も愛を見たことないけど、やっぱり愛なんて存在しんのかな。

ひょっとすると俺が見つけれんだけで、実はけっこう身近なところに潜んどるとかないかな。

呼んでみたら案外簡単に出てきたりして。

 

あーい、あい!

 

あーい、あい!

 

 

 

おさーるさーんだよー!

 

 

 

 

出た。サルが出た。

結局サルしか見つけられないまま、この世に生を受けて25年も経ってしまった。

 恥ずかしい。

「四半世紀生きてます。」って言うとなんか長い間生きとるかんじするから、「ゴリラで言ったら12歳くらいです!」って言うことにしようかな。

そしたらなんかいろいろ許してもらえそうじゃない?

あれ、そうでもない?

ちなみに今さりげなく披露した「ゴリラの平均寿命はだいたい40年くらいだから自分の年齢÷2をすると自分のおおよそのゴリラ年齢がわかる」っていう豆ゴリラ知識は、修学旅行で買った木刀くらい使い所がないのですぐに忘れてもらって大丈夫です。

 

さて、今年の誕生日は友達を呼んで自作のTシャツをプレゼントしてお祝いしました。

自分へのプレゼントを自作して、テンション上がって周りにも配るという、愛に飢えた哀しきゴリラの成れの果てがそこにありました。

 

でもそれでいいんです。

 

‪考えたんだけど、愛とは常に使い捨てで、そこにとどまり続けるものじゃないのかもしれない。

だから俺たちはあふれてきた愛を愛しい人に絶えず注ぎ続けることしかできないんじゃないかな。

あふれてきた分しか注げないし、あふれてきたときしか注がないんだから、そりゃ愛がそのへんに転がってるわけないよね。

どうりで今まで一度も見たことないはずだ。

 

愛はいつも一方的で、そんな愛に見返りを求めることは大きな見当違いなんだけど、それでも誰かを愛すること以外に自分も愛される方法が見当たらないんだよなあ。‬

愛されないと嘆くのは簡単だけど、周りの人の愛を枯渇させてるのはまぎれもない自分なのかもしれない。

みんなから愛されてる人を見ると、やっぱり愛されるべくして愛されてる気がする。

俺も早くゆるふわ愛されゴリラになりたい。

もしくは、愛の化身・マザーゴリラになりたい。

 

愛について少しだけわかった気がした途端、すごく愛が身近な存在に思えてきた。

エルサも、凍った心を溶かすのは真実の愛って気付いた瞬間魔法をコントロールできるようになってたけど、それに近い気がする。

ああ、すごい。

愛がどんどんあふれてきてるのを感じる。

愛が止まらない。

愛の源泉掛け流し。秘湯・愛の湯。

あんなに探してもどこにもなかった愛が、まさかこんなかたちで出てくるなんて。

でも実は今までに何度か感じたことのある、初めてではないこの感情。

そう、この愛の正体は自己愛。

自己愛に溺れそう。

 

愛されたいと喚き、それでも自分は自分のことしか愛さない。

こんなの、おジャ魔ウンテンゴリラじゃん。。。 

 

 

ああ、また孤独が音を立てて加速していく。 

 

 

おしまい 

元日のガンジー

 

大晦日、久しぶりに帰省した。

 

大阪から約5時間バスに揺られ、(もし俺が紙粘土やったら一生この体勢で生きていくことになったな、危なかった…)といらぬ心配をしていると外はすっかり雪景色になっていて、飛騨に帰ってきたことを知る。
バスは予定通りの時間に、高山駅に到着した。

 

駅までは親が迎えに来てくれていて、久しぶりの対面を果たした。
当たり前のことだが前に会ったときよりも老けていたので、開口一番「もうババアじゃん…」と言うと「そうなんやって!見て見て!ババアの手!」と言っておそらく自分の中で一番ババアポイントの高いであろう手を見せてくれた。
ババアの手を握って「苦労したんやねえ…」と言うとババアは「てへへ」と言って照れていた。
ババアは続けて「誰かさんがなかなか親孝行してくれんもんで」と言うので、つられて「てへへ」と言った。
そんなことをしているとジジイに「早く乗れ」と怒られてしまい、2人で「てへへ」と言って慌てて車に駆け込んだ。

 

帰りにスーパーに寄ると言うのでついて行くことにした。
ババアはスーパーで惣菜たちをひとしきり物色したあと、「あんた栗きんとんと芋きんとんどっちが好き?」と聞いてくるので「大学芋!」と元気に答えると「残念、不正解。」と言われた。
(俺の好みの問題なんやから正解のジャッジは俺にさせろよ)と思っていると「でもまあ、明日は明日の風が吹くよなあ…」という謎の発言と共にレトルトのドライカレーとナンを軽快にかごに入れ、足早にレジへと向かい出すババア。
一連の流れの意味がひとつもわからなくて戸惑っていると、後ろで妹が「いえーい!」と言っていたので我が家では日常の光景なのかもしれない。
今まで一緒にいたからわからなかったけど、もしかするとうちの家族はヤバイやつらなのかもしれない。
はたまた、愛国心の強いインド人なのかもしれない。
ということは当然俺もインド人ということになる。
だんだん親の顔がガンジーに見えてきた。
もう自分が日本人いうことに自信がなくなってきた。

 

結局その日はふつうの夕食が出てきて、俺の思い過ごしかなと思いかけていた2日の朝、スパイシーな香りで目が覚めた。
油断していた。
こんな正月の朝からカレーを食べるやつなんて、イチローかインド人しかいない。

疑惑が確信に変わった瞬間だった。
あとはもう受け入れるだけ。
初めまして、インド人のわたし。
ああ、身体がカレーを欲しているのがわかる。
逆にどうして今まで気付かなかったのだろう。

さあ、大好きなカレーを食べよう。


すると、俺の中の博識なギャルが「つーかインドでは左手は不浄の手だし、右手で食べた方がよくね?」と言ってきた。
自分がインド人だとわかった今、ここは素直にギャルに従おう。
言われるままに右手でナンをつかみ、ふと横に目をやるとガンジーが元気に両手でカレーを食べている。
おかしい、ガンジーが不浄の手を知らないわけがない。
ガンジーによく似たおばさんは息子の心中を知ってか知らずか「お兄さんたち、おにぎりでも握りましょうかい?」と聞いてくる。

身体がおにぎりを欲している。

わからなくなってきた、やっぱり俺はインド人じゃないのか。

いや、もう国籍なんてどうでもいいな。
俺はこのガンジー似の陽気なおばさんの血を引いている。
これはもうまぎれもない事実で、それだけでもうお腹がいっぱいだ。
俺は妹と手を上げて「いえーい!」と答えた。

 

おしまい

シティボーイへの登竜門

 

「ひとりでスタバに行ってスムーズに注文できる」

 

これがシティボーイを名乗る上での最低ラインだと思ってる。

わかっていながら今まで敬遠していたひとりスタバ。

2017年も終わりを迎えつつある中、ついに男濱本

また一歩、真のシティボーイに近づきました。

 

これまでも、誰かと一緒になら何回かは行ったことのあるスタバ。

友達と行ったときは「なんでもいいからティーをおひとつお願いします!」と友達に注文して席で待ってるか、前の友達の注文を呪文として覚えてそれをそのまま復唱するスタイルで乗り越えてきたスタバ。

本当は俺も白いモリモリが乗ってるやつがいいのに、いつもそっけないコーヒーや謎のティーばかり飲んでいたスタバ。

何のティーかわかんないけど勇気を出して頼んだティーをストレートかどうか聞かれて「いやトールで!」と答えて静寂を生んだスタバ。

 

そんなスタバにかなりの苦手意識を持った俺に試練とも呼べる出来事が入社一年目の外出先で起こりました。

「ちょっとスタバでコーヒー買ってきて。」

上司から突然お金を渡されて思わず固まってしまう。

(スタバデ…コーヒー…カッテクル…)

半ば思考停止になりかけながらも、同期からの視線を感じ「わかりました!トールでいいですよね?」とこなれた感を演出する。

とにかく今は同期に俺がスタバビギナーであることをバレるわけにはいかない。

山から下りてきたゴリラだとバレてしまう。

「歩く拡声器」の異名を持つ同期からそんな扱いを受けてはたちまち噂が社内中に広まり、憧れのシティボーイなんて夢のまた夢だ。

俺の持ち合わせているスタバの知識と言えば「サイズはトールがベタ」ということくらいだ。

とりあえず困ったら「トールで!」と言えばいい。

入国審査ではサイトシーン、スタバではトールサイズ。

これさえ連呼してればあとは向こうが察してなんとかしてくれる。

大事なのは相手の目を見て常に堂々をすること。

少しでも怯んだ様子を見せると一気に呑まれてしまう。

ここはこういう世界だ。

俺はこの方法でアメリカの入国審査でとんでもない時間を要した。

とにかく怪しまれる前にパパッと済ませてしまうに限る。

ひとりになってしまえば注文時に多少もたつこうがバレないし。

 足早にその場を離れようとすると「お前らの分も買ってこい」と言われ、同期も一緒に行くことに。ガッデム。

(仕方ない、ここは同期に注文させて俺もそれに続こう…)

「私いらないから濱本さん頼みなよ!」

(?!?!??!)

なぜついてきた!!!!!

なぜ!!!

ついてきた!!!!!

もはや嫌がらせにしか思えないが、もう後には引けないので意を決してレジへ向かう。

「アイスコーヒー2つ。トールサイズで!」

「かしこまりました。」

(お、いけたか…?!)

「アイスコーヒーは濃いめと辛めにできますが、いかがいたしましょう?」

(What's happen??!)

まじで油断ならねえ。

こんな質問今まで聞いたことないよ。

進研ゼミにもこんな問題なかったじゃんか。

てか濃いめも辛めもどっちも濃ゆくない?!

なにこれもう全然優しくない!

コーヒーも質問も優しめがいいです…

「じゃあ…辛めでお願いします…」

(やられた…完全に呑まれた…)

コーヒーを受け取ると、同期がにやにやしながら駆け寄ってきた。

「私コーヒー飲まんからよくわからんけど、辛めのコーヒーとかあるの?軽めとかではなくて?」

「えっ」

(やーめーてえーーーー!!!!)

エルサさながらの悲鳴を心の中であげる。

その冷ややかな目をやめなさい。

少しも寒くないわ。

 

この日を境にスタバを避け続けてきました。

でもやっぱり2017年のうちに克服しておきたい…

そして今日、満を持してひとりスタバデビューしてきました。

緊張がバレないように澄ました顔でレジの列に並ぶ。

(トールサイズ、トールサイズ、トールサイズ…)

落ち着くように頭の中で念仏のように唱える。

幸い俺の順番まではまだ時間がある。

この間に周りを観察して相手の出方を見よう。

「お客様ー!」

(っべー!!!店員さんに話しかけられたー!!なぜか俺だけピンポイントで話しかけられたー!!なにここ会員制なの?一見さんお断りなの?違いますよ!見にきただけです!注文とかしないですから!サイトシーンです!サイトシーン!!)

「メニューご覧になりますか?」

(いやメニューあるんかーーーい!!!)

早く出せよ。それ1番最初に出せ。

自動ドアが開くや否や出せ。

いらっしゃいませと同時に出せ。

それさえあれば俺すげー安心すっから。

俺だけに渡されたことに若干納得がいかなかったけど、これさえもらえばもうこっちのもんよ。

メニューを開いたら絵が同じなのに違う名前の飲み物がいっぱいあったけど、もうそんなことはどうでもいい。

白いモリモリが乗ってればもうなんでもいいよ。

「これのトールサイズください。」

なにこれ。余裕じゃん。

 

こうして無事ひとりスタバデビューを終えて、またひとつシティボーイへの階段を登りました。

白いモリモリ、そんなに美味しくなかった。

 

おしまい

 

来世はフーターズガール

おすおす。

この前、友達とボルダリングコンに行ってきました。

ボルダリングコンっていうのはあれです、

ボルダリング勢からは「チャラチャラ遊びで壁登ってんじゃねえよハゲ!!」と罵られ、街コン勢からは「あんたたち本当に出会い求めてんの?!やる気ある?!」と非難されるあれです。

 

なんでそんな地雷臭しかしないものに参加することになったかというと、「もし道を歩いてて、めっちゃタイプの人からいきなり求婚されたらどうするか」っていう、常に背後に気をまわしておかないと、いつ後ろから刺し殺されてもおかしくないような会話をしてて、気付いたら申し込んでた、っていうかんじです。

 

ボルダリングコン、まじで想像できなさすぎる。

まあベタなところでいくと、男女で壁を登りながら

「お嬢さん、この掴みやすくてかわいい色の石はあなたにこそふさわしい。わたしにはこの申し訳程度に生えた石で十分です。さあ、遠慮はいらない。お掴みなさい。」

「まあ!なんて紳士なの!好き!結婚して!!」

「おっと、石を掴みに来たつもりが、どうやらあなたの心を鷲掴みにしてしまったようだ。はっはっは。」

ってことなんだろうけど、上手にできるかすげー不安。

 

一抹の不安を覚えながら会場に向かうと、最初にスタッフのお兄さんから「危ないので登るのはひとりずつです」と言われて心配は杞憂に終わりました。

(え、じゃあどこで紳士やればいいのよ…)って思ってるうちにあれよあれよと5、6人のグループに分けられて、スタッフのお姉さんの「じゃあ簡単に自己紹介して、みんなでピンクのコースをやってみましょう!」 という言葉を皮切りに、全然状況が掴めないまま自己紹介タイムに突入しました。

 

これくらいの状況を掴めないやつが壁から生えた石なんか掴めるのかって話なんですが、目の前のカラフルな石にテンションが上がり、完全に意識をボルダリングの方に持っていかれてしまっていて、(え、ピンクのコースなの?俺オレンジのとこがいいのに!俺だけ勝手にオレンジのコースやったら怒られるかなあー。)とか思ってるあいだにほとんど自己紹介が終わってることに気付きました。

ここは切り替えて残された自己紹介に集中するしかないと思った矢先、女の子が開口一番「奈良県から来ました!」とか言い出すので(そっか奈良かー、、、いやおめえずいぶん遠いとこから来てんな!!!!!)と心の中で荒ぶるカミナリのタクミくんをなだめていると、そこからたたみかけるように「わたしも奈良から来ました」というもうひとりの女子。

それ聞いたとき絶対俺まなぶくんみたいな顔してた。

いやもうお前ら帰って奈良の壁登れよ…

結局「奈良から来ました」のパワーワードのせいでひとりも名前を覚えれずじまいに終わりました。

本来の目的を完全に見失ってる。

俺こそ帰った方がいいのかもしれない。

隣の男子もなんか空回ってるし、なんなのこのグループ帰った方がいい人しかいないんじゃないの…

幸い同じグループに一緒に行った友達もいたので、こっそり(あの女の人なんて名前やっけ?)と聞くと「忘れた。でもあそこ2人は奈良の人。」と言われました。

お前もかよ。

 

むしゃくしゃしたのでピンクのコースを終えるやいなや「じゃあここからは各自好きなところを登りましょう!!」と言ってひとりでオレンジのコースに一目散に向かいました。

これは本当に誤算だったんだけど、ボルダリングまじで消耗が激しすぎる。

他の人たちは自分がやったあと別の人がやってるのを見てわいわいする時間があるからそんなに疲れないみたいだけど、こちとら品性のないチンパンジーなので終わったらすぐ次を始めてを繰り返し続けるもんだから、ひとつめのグループで完全に握力を失いました。

まじでボルダリングなめてた。

1日3回までしか本気で登れなくて、それ以上やろうとすると上手く登れない上に体力が尽きて最悪死ぬ。

なにそれ千鳥かよ。

そのあと2〜3回グループ替えをしたけど、もちろんもう壁を登る力なんか残ってないので、後半は基本座っててたまに石を撫でる人でした。

早く帰れ。

 

自分はそんなザマなのに「同じ色の石じゃないとダメとか無理くない?!もう色無視してもいいでしょ!」とか言ってる女の子には「いやー、ルールは守らんと楽しくないでしょー。」とかほざいてました。

当初思い描いていた紳士の姿はどこにもなく、あるのは力尽きて床に座り込むチンパンジーの姿だけ。

まだ志村動物園のパンくんの方が品がある。

今度からボルダリングコンの要項に「チンパンジー不可」って書いておいた方がいいと思うな。

 

最後に連絡先交換タイムなるものがあったけど、まともに絡んだのはボルダリングが上手なお兄さんくらいだったので(暇だなー)とか思いながら少し離れたところで連絡先を交換する人たちを遠巻きに眺めるはめに。

まじで何しに来たんだこいつ。

たまたま近くに座ってたボルダリングコンとは関係ない女性に熱烈アプローチを受けたけど、たぶん四捨五入したら0歳くらいの若さだったので連絡先は聞きませんでした。

 

運動したらお腹がすいたので、会場をあとにすると一緒に行ってた友達を連れてそのままフーターズへ。

フーターズのお姉さんに「2人は今まで何してたのー?」と聞かれたのでありのままを話したら「えー!それって楽しいのー?」って言うもんだから2人で声を揃えて言いました。

 

フーターズの方が100倍楽しい!!!」

 

おしまい

 

思い立ったが凶日

台風の日、テレビを見てたら体の免疫力を上げるには腸内環境を整えるのが大事って言ってて、俺の中の腸の女神に耳を傾けると「ヨーグルトをお食べなさい!」と強く叫んでいたので、買いに行くことにしました。

外はもうはちゃめちゃに風が強くて、傘を開くや否やそのまま流れるようにご臨終したので(おお…スーパーハリケーン…!!!)と思いながら変わり果てた姿の傘を右手にずぶ濡れでコンビニに向かいました。

ずぶ濡れゴリラの状態で入ったので、店員さんから明らかな敵意の眼差しを向けられたけど、そんなことはお構いなしにアイスを買ってお店を出ました。

完全に海馬がやられちゃってる。

コンビニ行った意味。

もうすでに全身ずぶ濡れだからこれ以上濡れても関係ないなと思って、せっかくのスーパーハリケーンを体感するべく少し遠回りをして帰りました。

アイス買ったんなら早く帰れよって思うけど、海馬がやられちゃってるので無理です。

雨風の音がすごかったので、負けじと大きい声でビートルズのLet it beを歌いながら帰りました。

ご機嫌で帰宅したら家が停電してて、たぶん右手の傘と同じ顔してたと思う。

お湯が出ないから風呂に入れず、冷蔵庫も効かなくなってるから身体を拭いて震えながらアイス食ってたら見事に風邪をひきました。

鼻水が止まんなくて次の日耳鼻科行って薬もらったんだけど、薬の副作用でお腹がグズグズ。

腸内環境が最悪になってしまった。

もう耳を澄ましても、腸の女神の声は聞こえません。

おしまい

バイトの先輩

大学生のときに飲食店でバイトをしていた。

シフトが曜日固定だったから一緒に入るバイトのメンバーもほぼ固定で、会ったことのないバイトの人もちらほらいた。

ある日店長から急遽助っ人を頼まれて普段とは違う曜日にバイトに向かうと、更衣室に入っていく知らない人を見かけた。

まだバイトに入ってから日が浅かったこともあり、おそらく先輩であろうその人にこちらから挨拶をせねばな、などと思いながら扉を開けると、目が合うなり開口一番「あ!知らない人だ!」と大きな声で思ったことを口にしていた。

これにはとても驚いた。

確かに彼にとって私は知らない人だろうが、この時間に更衣室で同じになるということは、まずバイトの人間で間違いないだろう。

それに店長からも助っ人が来る旨は聞いているはず。

にもかかわらずこちらに対して「あ!知らない人だ!」と言うのは、思ったことをすぐに口にしてしまう人なのかもしれない。

呆気にとられていると「急に知らない人が来たからびっくりしたわー!」と追い討ちをかけてきた。

慌てて自己紹介をすると、彼は一言「ふーん、そうなんやー。」とだけ言って更衣室から出て行ってしまった。

おい待て!!お前の名前は!!!

私は(あいつ絶対仕事できねーじゃん…)などと失礼なことを思いながら着替えを済ませ、更衣室をあとにした。

更衣室を出ると彼は手際よく野菜の仕込みをしていた。

心の中で仕事ができないと言ったことを謝罪しつつ、仕込みを手伝ってるときにある違和感を感じた。

さっきから一言も言葉を発していない。

思ったことをすぐに口にしてしまうならば、彼はいま「ハンバーガーが食べたいなあ…」と言っていなければおかしいのである。

彼はハンバーガーを食べたい人間のフォルムをしている。

どうやら思ったことをすぐに口にしてしまうわけではないらしい。

ではあの更衣室での発言は何だったのだろう。

「知らない人」「自己紹介のあとの素っ気ない対応」「厨房のバイト」「小太り」

いまある情報を集めてどこぞの名探偵よろしく推理していると、ある仮説が生まれた。

彼はもしかすると、知らない人に異常に反応してしまう人間なのかもしれない。

だから自己紹介をしたことで彼にとって私が知らない人でなくなってしまい、急に反応が薄くなったのであろう。

仕事中にバイトの人間としか顔を合わせない厨房のバイトを選んでるのもうなずける。

小太りはあれだ、たぶん体質だ。あと運動不足。

この人渋谷のスクランブル交差点とか原宿の竹下通りとか行ったら大変そうだなと思った。忙しすぎる。

すべて腑に落ちたところで、私は彼を受け入れ、そして共に仕事に励んだ。

バイトを始めて1年経ち、彼もいよいよ大学を卒業だというときに「俺卒業式には出ないよ」とわけのわからないこと言い出すので皆口々に「何でですか?!」と彼を問い詰めた。

私はすべて察して「知らない人いっぱいですもんね…」と声をかけるべきか悩んでいると、本人自ら「友達がいないから行っても関係ない」と話していた。

(まあ、あまり友達になりたいタイプではないよなー、小太りだし。)とまた失礼なことを思いながら「確かにそれなら行っても行かなくても同じですね!」と元気に返事をしておいた。

皆やばいやつを見る目でこちらを見てきたけれど、先輩は少し満足気な顔をしていた。

もし街を歩いていて急に小太りの人に「あ!知らない人だ!」と言われても、悪い人じゃないのでやさしくしてあげてください。

たぶんハンバーガーをあげたら喜ぶと思います。

おしまい